就寝時に着用することで美しいバスト作りをサポートしてくれるアイテムであるナイトブラ。
しかし、実は乳がんになってしまうリスクがあるのではないかと世間で囁かれています。
編集部 ナオミ
ナイトブラは乳がんの発生率を高めない?
2017年にアメリカで「ドレス・トゥ・キル:乳がんとブラとの関連(原題:Dressed to Kill: The Link Between Breast Cancer & Bras)」と呼ばれる一冊の書籍が出されました。
この書籍は、シドニー・シンガー&ソーマ・グリスメイジャー夫妻というハワイにあるCulturrogenic Disease研究所のディレクターが、妻の妊娠中に乳房に塊を見つけたことにショックを受け、夫婦で医療人類学チームを結成して出されたものです。
その衝撃的な内容から、日本でも「ホンマでっか!?TV」などで研究内容の一部が紹介されるほどでした。
その研究内容では、1日12時間ブラジャーを着けていると乳がんの可能性が25倍に、24時間だと125倍に跳ね上がるというのです。
タイトなブラジャーによって引き起こされる乳房からのリンパ排液の収縮が、組織の特性や嚢胞、痛みに代わり、最終的には乳がんに至る可能性が高くなる、と主張しています。
つまり、ブラジャーを着けている時間が長ければ長いほど身体が締め付けられ、リンパの流れが悪くなり、免疫力が低下する、と言っているのです。
ただ、あくまでもこの著者は「Culturrogenic Disease研究所のディレクター」であり、医師やがん研究者といった専門家ではありません。
そこで、専門家たちが「ブラジャーを着けると乳がんになる危険性を高める」という言説について、「ブラジャーの着用は女性にとって極めて一般的で、検証すべき重要な問題」と捉えて、以下のような科学的な研究を行いました。
アメリカ合衆国シアトルのピュージェット湾都市圏に住む55~74歳の女性(閉経後)1,513人(浸潤性乳管がん454人・浸潤性小葉がん590人・乳がん無し469人)に対して
- 着用開始年齢
- アンダーワイヤーの有無
- カップサイズ
- アンダーバストサイズ
- 1日の着用時間
- 週当たりの着用日数
- 着用パターンが過去に変化したか
といったブラジャーに関する7つの質問のアンケートを取りました。
すると、これら7つの項目すべてが乳がんへの危険性に関与していないことが証明されました。
この研究結果はアメリカの医学誌にも掲載されており、非常に信憑性の高いものと言えます。
実際の乳がんになる要因は?
実は乳がんの発生や増殖には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関係しています。
女性ホルモンに関係し、乳がんになる危険性があるとされている要因について見ていきます。
乳がんになる要因①:食生活の欧米化
近年、日本人の食生活は非常に欧米化しており、カロリーやコレステロールが非常に高くなっています。
この食生活の欧米化に比例して、初潮が早まったり閉経が遅くなる傾向にあります。
つまり、一生のうちで女性の月経が起こる期間が長くなっているわけです。
月経が長くなった結果、女性ホルモンの分泌が増えてしまいますので、食生活の欧米化は乳がんになる要因の1つであると考えられています。
また、食生活が欧米化してしまうと、肥満になる可能性も高くなります。
閉経後の女性は、肥満が原因で乳がんの発症リスクが高まると言われています。
肥満は、乳がん以外にも糖尿病や脳卒中などさまざまな生活習慣病の原因の1つでもあるので、日頃から肥満に繋がるような食生活は避けるべきです。
乳がんになる要因②:出産の高齢化
社会で活躍する女性人口の増加に伴って、昔よりも婚期そのものが遅くなり高齢出産の方や子供をつくらないという選択肢を選ぶ女性も増えました。
もともと日本では乳がんの発症率はかなり低かったのですが、20年間で乳がんの発生率は約2倍になりました。
出産の高齢化だけが原因とは言えませんが、明らかに20年間で女性の出産期は遅くなっています。
また、乳がんリスクは出産した子供の人数に応じて低下し、最初の正期産が高齢であるほど高まります。
乳がんになる要因③:遺伝
乳がんになる要因の1つとして、乳がんになりやすい女性ホルモンが遺伝している可能性もあります。
乳がんの要因のうち、5~10%は遺伝性であると言われています。
がん細胞そのものが遺伝するわけではないのですが、乳がんは食生活などの環境因子の影響が複雑に関与して発症していると考えられています。
世界中の多くの研究をまとめた結果、家系内に乳がん患者がいる女性はそうでない女性と比べると、2倍以上乳がんになりやすいと言われています。
乳がんになる要因④:飲酒や喫煙
飲酒や喫煙も乳がんになるリスクを高める要因であると言われています。
まず、アルコールには発がん性がある成分が含まれています。
閉経の前後を問わず、アルコールの摂取量が増加するほどリスクが高まると言われています。
喫煙も同様に様々な病気のリスクの要因であると考えられています。
21,865人の女性を対象にした調査によると、喫煙者と喫煙を一度もしたことがなく受動喫煙もないという人では、乳がんリスクに90%も差が出ています。
乳がんになる要因⑤:地域性・社会的要因
乳がんの発症には身体的要因だけでなく、心理社会的要因も関与していると考えられています。
乳がんの要因としてストレスが関与しているかということは未だ解明されていませんが、ストレスはさまざまなホルモンに影響を及ぼします。
2015年の都道府県別年齢調整脂肪率によると、乳がんでの死亡者は東日本や大都市圏に多いことがわかっています。
ストレスだけでなく生活環境が影響しているのか、はっきりと明確な事実はわかっていませんが地域性や社会的要因が乳がんのリスクと関係していると考えられています。
乳がんにならないためのナイトブラの選び方
乳がんにはさまざまな要因があると考えられています。
少しでも乳がんのリスクを減らす為には、バストに少しでも快適な状態を与えると良いです。
バストの形を保ってリンパの流れが良くなるナイトブラを選ぶためには、3つのポイントを押さえておく必要があります。
ナイトブラの選び方①:適度なホールド力がある
就寝時にナイトブラを着用すると、寝返りや就寝時の体勢が原因でバストにかかる負担を軽くし、寝ている間のバスト流れを防いでくれるのです。
多くのナイトブラには、日中のブラジャーのようにワイヤーは入っていないため締め付けが少ないのですが、その分しっかりと自分のバストをホールドしてくれるナイトブラを選ぶ必要があります。
適度なホールド力があるナイトブラを選ぶと、就寝時に左右に揺れ動くバストを支えてくれて、ノーブラの時よりも体温を上げてリンパの流れを良くしてくれます。
ナイトブラの選び方②:脇や背中に肉が流れにくい作りになっている
就寝時にナイトブラを着用することで、美しいバストラインをキープすることができます。
ノーブラで就寝する人もいるようですが、ブラジャーを着けなかった場合、うつ伏せの体勢になるとバストが潰れて形が崩れてしまうのです。
また、ノーブラで寝てしまうと、重力によってバストが脇肉や贅肉へと変化してしまいます。
脇や背中に縦の幅があるデザインのナイトブラを選ぶと、締め付けがきつくないうえにバストが流れにくい状態を作ってくれます。
ナイトブラの選び方③:自分に合ったサイズ
ナイトブラの多くが、ワンサイズで伸縮性のある素材を使用しています。
ある程度布地が伸びるので平均的なバストサイズであれば問題ありませんが、ナイトブラを選ぶ際にはサイズ選びも重要です。
バストよりも大きいサイズのナイトブラを選んでしまうと、バストを支えきることができません。
また、サイズが大きすぎるとしっかりとした着圧効果を受けることができません。
一方で、ナイトブラのサイズが自分のバストよりも小さいと、締め付けが強くなりすぎてリンパに悪影響を与えてしまい、女性ホルモンの流れを阻害してしまう可能性があります。
まとめ
何をしたら乳がんにならない、何をしておけば乳がんになることは絶対にない、ということが分からないからこそ、乳がんは恐ろしい病気です。
乳がんに限らず、病魔が襲ってくるのは突然です。
定期的に乳がん検診を受診することをおすすめします。
現段階で考えられる要因の一つ一つに気を付けておくことが、乳がん予防に繋がるのでしょう。
また、常にバストにとって快適な状態を保つためにも、しっかりと自分に合ったナイトブラを着用することをオススメします。